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自分がモジュラーシンセを自作するときに調べたことや、その情報源を自分用のメモとしてここにまとめます。 独自の調査になるので、間違いがあるかもしれません。また、これからも追記・修正をしていく予定です。

0. 参考になるサイト・書籍

自分がモジュラーシンセを自作するにあたって、参考にしたサイトや書籍をまとめます。

0.1 サイト

Doepfer A-100 Analog Modular System

ユーロラックという規格は、もともとDoepferという企業が提唱したもので、それがA-100というシリーズにあらわれています(A-100の発売日は1995年!)。なので、このサイトの詳細情報が実質ユーロラックの規格書となっています。

実際にモジュールを自作する際は、このサイトのTechnical detailsとMechanical detailsのページとにらめっこすることになります。

Music From Outer Space

MFOSという略称で親しまれているサイトです。様々なモジュールの例と実際の回路図が公開されて、非常に参考になるサイトです。

MUFF WIGGLER

言わずとしれたモジュラーシンセの地球上で最も巨大なコミュニティです。商品のモジュールの情報が主ですが、DIYに関してもかなり活発な 議論がなされているので、大体の問題や疑問はここで検索すると大量のスレッドが見つかります。

0.2 書籍

Make: Analog Synthesizers

上記のMFOSの人が書いた本です。秋月電子でキットとして売られるようにもなった、 Noise Toasterというシンセの制作をチュートリアルに、解説している本です。

これはモジュラーシンセではありませんが、VCOやVCF、VCAやエンベロープジェネレータなど、シンセの基本モジュールを取り扱うので、 初めの1冊としてはちょうどよいかもしれません。

達人と作る アナログシンセサイザー自作入門

僕はこの本にかなりお世話になりました。本でメインで取り扱う回路に加え、複数のパターンの回路を紹介してくれるので、 知識の幅が広がります。

1. サイズ

1.1 縦方向

ユーロラック規格であれば「3Uサイズ」と呼ばれる大きさが標準になりますが、実は他に有名な規格として「5Uサイズ」と一回り大きいサイズの 規格のモジュラーシンセも存在しています。

ここで言うUはUnitの頭文字で、1U当たり1.75インチです。
3Uサイズでは高さが5.25インチ(133.35mm)、5Uサイズでは8.75インチ(222.25mm)になります。

5Uは少しビンテージなシンセで流行っていた規格で、例えばMoog社が製造していました。

基本的には3Uサイズを作る・使うことになると思います。

実際にモジュールを作成するときは、十分な余裕をもたせて128.5mmで作成するのが良さそうです。(Doepferのサイトより)

1.2 横方向

ユーロラックでは横方向の大きさを「HP」という単位で表現します。1HPは1/5インチ(5.08 mm)です。 なので、このHPの整数倍の大きさでモジュールを設計することになります。

具体的な大きさについては、Doepferのサイトに詳しい表が掲載されていたのでそれを引用します。

HP単位の幅 mmに変換 推奨される余裕をもたせた幅
1HP 5.08mm 5.00mm
2HP 10.16mm 9.80mm
4HP 20.32mm 20.00mm
6HP 30.48mm 30.00mm
8HP 40.64mm 40.30mm
10HP 50.80mm 50.50mm
12HP 60.96mm 60.60mm
14HP 71.12mm 70.80mm
16HP 81.28mm 80.90mm
18HP 91.44mm 91.30mm
20HP 101.60mm 101.30mm

僕はよく8HPと14HPでモジュールを作っています。(自分用のメモ)

1.3 穴について

M3のミリネジで固定するので、ドリルは3.2mmで開けます。

穴は縦方向は122.5mmの間隔(パネルの高さが128.5mmなら、穴の中心が端から3mmの位置)をとります。

横方向は、5.08mmの倍数の間隔で配置します。端から7.5mm(3/2HP)の位置に空けることが推奨されているようですが、物によっては 1HP単位の場所に空いているモジュールもあるようで、どちらにも対応できるように穴が横長くなっているモジュールも市販されているようです。

2. 電源

ユーロラックでは、電源は+12V、-12V、+5Vの3系統の電源を用います。
12Vの正負電源がオーディオ用、+5Vの電源がマイコンなどの制御系統用に用意されています。

これらの電源は2x8のピンヘッダを用いて接続します。
ピンアサインは次のとおりです。

電源のピンアサイン

上4ピンに接続されている、グローバルなゲートやCVを入力に取ったり、出力に取るモジュールは非常に限られているようで、 これらの入力を省いて2x5のピンヘッダしか出していないモジュールも存在しているようです。

僕はボックスヘッダとリボンケーブルのコネクタを使っています。(リンクを貼ろうとしたけど、RSでリンク切れになっていた。これからどうしよう…)

3. 信号レベル

3.1 オーディオ

オーディオ信号は、-5V ~ +5V の10Vppでの出力になるようです。

3.2 CV

LFOなどのモジュレーションソースは-2.5V ~ +2.5Vの5Vpp、ADSRなどのエンベロープは0V ~ 8Vになるようです。

また、VCOなど音程をコントロールするものは1V/OCTと呼ばれ、これは1V変化すると音程が1オクターブ変化することを意味していますが、 問題となるのはそのオフセットです。doepferでは、1V/OCTは相対的な値であって、何Vが何Hzに相当するかは名言していません。

なので、どうやら機器によってオフセットが微妙に異なるものが存在しているようです。

ですが、これでは少し迷ってしまいます。

参考としては、ArturiaのKeyStepでは、デフォルトで0VがC2(MIDIノートナンバーで0)に相当するようになっているようです。(でも設定で変更可能) また、0-coastの出力電圧を見てみると、C4(MIDIノートナンバーで60)を入力したとき、3.723Vが出力されていました。
内部に自動チューニング機能がついているので、その結果このような値になっているものと思われます。

3.3 ゲート

ゲート信号は、+3V以上をHighと扱うので、+5V、+8V、+10V、+12Vなど、なんでも良いようです。
手持ちのMakeNoizeの0-Coastのゲート出力を測定してみたところ、+10Vを出力していました。